業界の知見を活用し、金融犯罪対策の未来を形づくる。
金融犯罪の構造がますます複雑化する中で、グローバル経済が直面する課題も多様化しています。違法な資金の流れと闘うには、協働、イノベーション、そして専門知識の共有が不可欠です。
グローバルな金融犯罪対策（AFC）コミュニティの声として、ACAMSはこうした課題に取り組むため、協力体制と知見の共有を推進しています。
今回が2回目の発行となる「金融犯罪の脅威に関するグローバルレポート2025年版」は、200以上の国・地域からのインサイト、1,500名以上のAFC専門家による調査回答、主要金融ハブにおけるカンファレンスや経営層向けラウンドテーブルでの対話に基づき、金融犯罪の現状と今後を多角的に分析しています。
本レポートの作成にご協力いただいた世界中のACAMS会員の皆様に、心より感謝申し上げます。
本レポートでは、今後予想される規制改革、AFC専門家が直面する内部課題、主要な脅威タイプ、金融犯罪に対するレジリエンスと備え、そして新たに台頭する脅威について取り上げています。
2025年版では、グローバルな視点に加え、地域ごとの分析も導入し、よりローカライズされた視点を提供しています。
本レポートが、皆様の戦略立案を支え、官民連携を促進し、金融犯罪対策におけるグローバルな取り組みをさらに前進させるための有益なツールとなることを願っております。進化する脅威にともに立ち向かい、より結束した未来のために実質的な変化を生み出していきましょう。
2025年の主な脅威：総合評価
1. 承認済みの詐欺：テクノロジーの力を活用する組織犯罪
詐欺、テクノロジー、組織犯罪の融合によって、既知の詐欺が世界的に最も深刻な脅威として浮上しています。SNSおよびメッセージングアプリ、生成AIや暗号資産などの新興テクノロジーによって、こうした手口の背後に存在する犯罪組織は驚異的な規模で活動し、巨額の利益を手にすることが可能になっています。この脅威に立ち向かうことは非常に困難な課題であり、政府、法執行機関、産業界は、この課題の解決に苦慮しています。取材した専門家のほぼ全員が、既知の詐欺は今後1年間に急増し続けると見込んでいます。
2. 制裁および輸出規制の回避：リスクが集まる場所
制裁および輸出規制回避は、地理的要因による対立、地下銀行、変更管理能力の欠如、人材リスク、データリスクなど、ここで取り上げる他の多くの脅威と同時に存在します。個人を狙った詐欺行為に続いて、制裁回避は、回答者が2番目に重要視する分野として挙げられました。ただしこれは、欧州と中東においては第1位の重点項目でした。制裁および輸出管理リスクの制御が困難な課題になったことに疑いの余地はなく、変化する期待と拡大するリスクへの対応が必要です。
3. 分極化、地理的要因、対立：分断された世界
世界はかつてないほどに不安定さを増しています。地理的要因による緊張、紛争、政治的暴力は、いずれも2024年を通じて激化しました。前年のレポートで取り上げられた政治的関係、戦略的関係、貿易関係の再定義は、現在もなお経営幹部層の議論において主要なテーマとなっています。見解の多様化が進むことで、AFCを取り巻く環境は一層分極化し、複雑さを増しています。回答者は、リスクエクスポージャーとリスク解消を均衡させる課題を含む、AFC対応の枠組みを構築する方法について意見の相違が強まっていると述べました。その結果、私たちのコミュニティの多くは、より多様で、予測しにくい脅威環境に備えています。
4. 犯罪への AI の利用：デジタルによる崩壊
悪意のある目的での生成AIの使用は、引き続き脅威環境を深刻なレベルまで変化させています。特にマルウェア、ソーシャルエジニアリング、動画/音声の複製（「ディープフェイク」とも呼ばれる）を駆使した犯罪行為は、圧倒的なスピード、規模の大きさ、巧妙さにより、金融犯罪対策にとって最も重大な脅威の1つになっています。これは、AFCの専門家が自身のテクノロジーの導入ペースと犯罪者と同程度のテクノロジーを有する能力についてますます懸念を強めている中で起きています。
5. 地下銀行：影の金融システム
地下銀行の多面的な脅威を見逃すべきではないでしょう。長期にわたって持続するこのメカニズムはさまざまな形態をとり、世界の不法資金の動きをいまだに支配しています。ローテックを使用するハワラのネットワークや大量の現金密輸から新しいミラー取引や暗号資産まで、地下銀行の手法には一つの共通点があります。それは、法執行機関が資金の流れを追う際の金融チェーンの連鎖を断ち切ることです。こうした手法は非常に効果的です。地下銀行は、かつてないほど迅速に、低コストで、検出のリスクが低く、資金を移動させることができます。
ACAMS グローバルAFC脅威レポート2025は、特に次の業界にご所属の皆様におすすめいたします
- 金融機関
- フィンテック関連企業
- 法執行機関
- 金融監督当局
- 政府機関
- NGO
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